JOURNAL Special Contents

2021-02-24
大和郡山の賑わいを生み出す
交流の場所として使ってほしい

新庁舎建て替えプロジェクトに関わるさまざまな人の声を届けるスペシャルコンテンツ。今回は、設計を手がけた「株式会社 梓設計 関西支社」の難波壮一さんと中川洋輔さんのインタビューの後編をお届けします。前編では、設計面で大切にしたことやこだわりなどの話題が飛び交いました。後編でも、新庁舎に対しての願いやプロジェクトに対する2人の想いなど、たっぷり語っていただきました。

株式会社梓設計 関西支社 アーキテクト部門 設計部 主幹 難波 壮一(なんばそういち)

小学1年生より建築に興味をもち、小学5年生で建築家になろうと思う。1989年に梓設計に入社し、さまざまな公共施設の設計に従事。近年は10件以上の庁舎設計に携わっている。地域性と様々な人々の利便性を主眼とした計画の中にプラスアルファの新しいアイデアを取り入れ、楽しみながら建築に取り組んでいる。

株式会社梓設計 アーキテクト部門 BASE02 主任 中川 洋輔(なかがわようすけ)

2014年に梓設計に入社し、アリーナや図書館などの公共施設からホテルまでさまざまな設計に携わる。奈良県出身。今回、地元での設計にあたって大和郡山市の過去・現在・未来を考え、ここだけの庁舎の実現に向けて、人一倍強い思い入れで新庁舎建設プロジェクトに臨む。

皆が同じゴールに向かって
協力し合いながら取り組む姿勢を

施工業者さんとのコミュニケーションはいかがでしたか?

中川:今回のプロジェクトは現場施工を担っている淺沼組と藤本建設と一緒に取り組んでいますが、コミュニケーションはとてもスムーズです。やはり両社とも奈良県内で多数の実績がある企業なので、安心してお任せすることができています。

難波:工事がスタートした段階で、関係者の皆さんに向けて設計説明会を開催し、私たち設計チームの思いを伝えました。やはり工事を進めるうえで、さまざまな問題にぶつかることも多いです。より良いものを作ろうと、ワンチームで同じ方向を向いて一緒に施工の問題点をクリアしながら工事を進めています。

中川:淺沼組と藤本建設の皆さんには、協力・理解していただき、とても感謝しています。現在は、毎月、定期的に現場に足を運び、大和郡山市と施工業者の皆さん、私たちの3者で工事の進捗などを共有する総合定例会議を開いています。コロナ禍での作業が続くのでコミュニケーションを図ることがより大切だと考えています。

設計CGを前に設計への想いを語る難波さん

幅広い世代の人の
“利用しやすさ”を大切に

設計で一番大切にしたポイントは何ですか?

難波:庁舎は、お年寄りの方から小さなお子さん、身体の不自由な方など、さまざまな方が利用します。それを踏まえて一番大切にしたのは、“誰もが利用しやすい場所”ということです。そこを押さえてから、細かい部分の使いやすさを考えていきました。

中川:今回は、新庁舎の前に新たに交流棟という会議室や店舗、コミュニケーションスペースとして誰でも気軽に使える場所を設けました。隣接する広場を一緒に活用しながらにぎわいを生み出し、今回の新庁舎建設工事が、大和郡山市の街のにぎわいづくりに少しでも寄与できればいいなと思います。

難波:交流棟にはたくさんの人が集い、コミュニケーションの場になればいいなと思っています。一般的に市役所は、何か目的を持って訪れる場所ですが、新庁舎は特別な用事がなくても訪れ、積極的に活用してほしいです。フラっと休憩したり、学生の勉強スペースなどとして使ったり、さまざまな利用ができる場所となるのではないでしょうか。

中川:やまと郡山城ホールなど、もともとコンサートをするホールはあったものの、小さなイベントなどを開催するスペースが少なかったと伺いました。これからいろいろな活用方法を見出していただければ嬉しいです。

こだわりの交流スペースなど企画構成について語る中川さん

時代とともに変化する
庁舎の新しいあり方

新庁舎がどのような場所になってほしいですか。

難波:庁舎に求める快適さやサービスも変わってきており、今後、庁舎のあり方も変わっていくのではないかと感じています。庁舎を使っていくのは市民や職員の方で、どういう風に活用していくのかは、使い手次第です。皆さんで上手く利用していって欲しいなと思います。もしかすると私たちが予想できない使い方もあるかもしれません。

中川:完成後、自分が手がけた建物がどのように使われているのかを知る機会は少ないのですが、今回は大和郡山に住んでいる友人に聞いてみようと思っています。実際に利用してみた感想を直接聞くことは普段あまりないのでドキドキしますが、すごく楽しみです。

難波:その感想、私も知りたいなぁ!「え!こんな使い方もできるんだ!」という嬉しい使い方をしてくれていたら良いですね。

設計時の検討スケッチ資料。市民の賑わいを想い、描く